風鎮
掛軸屋.netの秋吉です。
今回は掛軸に添える「風鎮」(ふうちん)についてお話ししたいと思います。
季節ごとに、または行事などで掛軸を掛け替える際に、
掛軸の下部にある軸棒の先に風鎮(ふうちん)を下げることがあると思います。


この風鎮は、その名のとおり「風を鎮める」という役目があります。
掛軸が定着した頃の日本家屋は、時代劇のシーンでも見られる様に
風通しの良い空間で、ふすまや障子一枚で、区切られていました。
風通しのよい部屋に掛軸を飾ると、
風に煽られ、掛軸が壁に当たってしまいます。
そこで、風鎮を掛軸の下部にある棒の端に下げると、
風に大きく煽られることのないよう「おさえ」の役目を果たしてくれます。
元々はこうした目的で考えられたものです。
一方、現代の日本家屋は気密性も高くなり扇風機やエアコンの風でも当たらない限り
部屋の中に風が通ることも少なくなりました。
また最近ではこの「おさえ」の役目の他に、
掛軸をおしゃれに、時に豪華に演出する小道具として使われることも多くなってきました。
ですが、元々重みがあるため掛軸に下げると全体が重くなり、
吊り下げている紐や作品、上下にある棒の接続部分などに負担がかかります。
短時間でしたらさほどではないのですが、
数ヶ月も下げた状態のままにされると、掛軸自体の傷みの原因にもなります。
当工房にお持ちいただく古い掛軸には、そうした経年の傷みで
紐がちぎれていたり、下部の棒付近に破れがあったり、
棒の先の部分(軸先-じくさき-といいます)が取れていたりするものが多いものです。

掛軸は和紙とやわらかい布で出来ています。
湿度と直射日光に弱く、わずかな衝撃で各部が傷んでしまう
デリケートな美術工芸品です。
風鎮を下げる際は、一時の事され、
ご来客のある場合や何か特別な日、写真を撮られる際などに
下げられるのが理想的と思います。
万一、上の写真のように傷んでしまった掛軸をお持ちの方は
ぜひ、当工房までご相談ください。
そのままでは飾れない掛軸もしっかりとお直しいたします。
ご相談はメール、またはお電話でお待ちしております。
電話番号は (0568)23-7547 までお願いします。
メールでのお問い合わせはこちらのメールフォームをご利用ください。
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