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鳥獣人物戯画

掛軸屋.netの秋吉です。

先日、国宝「鳥獣人物戯画」に関する記事が、テレビ・新聞その他ニュースで話題になりました。

「鳥獣人物戯画」といえば、漫画の元祖と言われ、ご存知の皆様も多いかと思います。

全4巻の長い絵巻物として保存されて、それぞれ“甲、乙、丙、丁”と呼ばれています。
今回はそのうちの“丙”巻に新しい発見がありました。

作品は縦31センチ、幅57センチ前後の和紙を計20枚つなぎ合わせて
一つの巻物に仕立てられています。
調査の結果、もとは10枚の和紙の“表裏に描かれた絵”が1枚ずつ表と裏の“2枚”にはがされたものであることが判ったようです。

和紙は紙質にもよりますが墨など浸透しやすいものです。
文字や絵を描くと、裏面にまで墨が達します。
(書道で下敷きとして毛氈を敷くのは、机や畳を汚さないようにするためです。)

元絵は表裏の両面に絵が描かれていたようで、表面に描かれていた絵の墨の痕跡が、
裏面に達していたことがわかり1枚の絵が表裏の2枚にはがされたものと確認されました。

今回の技法は、表装の世界では“紙を割る”といわれます。
1枚の本紙を薄くはぎとって作品を2枚にすることですが、素材が和紙ゆえに出来る技法です。
和紙は植物繊維を水で漉いて作るので何層かの層状になっているからです。

平安末期から鎌倉時代初期に描かれたこの作品を江戸時代になり巻物に仕立てた表具師は、
表裏に描かれた作品を観賞しやすくするために行ったようです。
当時からの素晴らしい技術は現代でも脈々と受け継がれています。
400年前の表具師に感謝です。

鳥獣人物戯画 Wikipedia

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